このブログは快快 / FAIFAIメンバーが週1ペースでお送りしてます。

2015年11月13日金曜日

日韓共同製作「颱風奇譚(たいふうきたん)」


こーじです。

9~12月はこれに参加しています。



日韓共同制作
「颱風奇譚(たいふうきたん)」
原作 W.シェイクスピア
作 ソン・ギウン
演出 多田淳之介
出演 チョン・ドンファン チョン・スジ パク・サンジョン 佐山和泉 
小田豊 永井秀樹 山崎皓司 大石将弘 夏目慎也 ペク・ジョンスン 
マ・ドゥヨン チョ・アラ 伊東歌織







9/3~11/9、韓国でのリハーサル・本番が終わり帰国して、
次はフェスティバル/トーキョーとキラリふじみ公演です。

今回は、役があって台詞もあって演じてるんですが、面白いです。

韓国ツアーのことを振り返って、いま一番思うことは、
毎度のことながら、演技って何だろうってところからのスタートになってしまうんですが、最初は「演技」「演技」と言っていたのが、10月半ば頃から「芝居」「芝居」っていうようになっていました。
だからなんだよって感じなんですが、僕的には自分の今回の仕事は「俳優」である、とその頃に腑に落ちたのかなと思います。当たり前だし遅いけど。
一番の煙草仲間だった小田さんが格好良くて、「芝居」って言葉を使うから影響されただけっていうのが本当の理由かもしれないです。
小田さん

とりあえず今回に関しては、自分のプロフィールに「小田豊に師事」と加えたい感じです。師事っていうにはまだまだ自分があんまりなので「小田豊にお世話になった」という感じです。今回は皆さんに本当にお世話になりました。


2012年に快快で「りんご」をやったとき、杉原邦生に「お前、1幕、フワフワして地に足が着いてなかったぞ」と笑われたんだけど、それぶりに今回「地に足がついてない」と言われて、ドキっとしました。
人の台詞きかない問題も、2008年以来。
どちらも結構自分的には、役があって演じてる感があったやつです。

もしかしたら、俺は演技が出来ないんじゃなくて、できないと思い込んでるだけなんじゃないか、だって、もう舞台に10年以上立ってるし。ちょっと考え方をかえて、演技って概念の捉え方をかえたら、軽くサクッとできるんじゃないか。

っていう考えが思い込みだったということがわかった。
それで「芝居」って言葉を使いだしたのもあると思う。

小田さんに、今まで舞台に立ってたって聞くけどどこに立ってたんだよ?作品の為にはこのまま野放しにしておくかべきか助言するべきか迷ったよ、ははははっと言われて、やっぱりできてないんだ!と思いました。
(韓国に行く直前に受けた、演技のワークショップでも「君は君の道をいけばいいんじゃないかな、はははっ」と言われました。)

言葉のイメージの話だけど、「演技」は今までしたこともあったけど「芝居」はやってこなかった。
ここまで書いててどういう違いだろうってわかりました。
僕的には演技は一人で、芝居は人と一緒にやるものってイメージですね。
またひとつ掴みました。
今回の僕は、スポンジって感じですね。何でも吸い込んでいます。
いつもは雑巾をぎゅっとしぼってる感じですね。その汁をお客さんに見せてる。
でも吸い込んだものは出さないと、お客さんには、すかすかの渇いたスポンジか、水を一杯蓄えているスポンジかわかんないですからね。


うまいこと例えたって思ったけど、意外とわかる

とにかくジュワッと豊かにしたたる感じで舞台にいたいですね。それか一気にしぼってドバっと出したいですね。
どばっと出そうとしたら実は全然吸収してなくて、スポンジもびっくり!ってこともありえますからね。怖いですね。
そうなる気は毛頭ないですし、そうなりませんが。
東京公演に向けてがんばります。

帰国してソファーベッドのマットレスを洗いました。
洗って干して3日目。

これが渇いているか水含んでいるかわかんないでしょ。こういうこと。
実際はめちゃくちゃ湿ってて、腰を痛めたほど重いです。
明日雨なので取り込みました。


とにかく新鮮で、いいタイミングで、このプロジェクトに参加できたことが良かったです。
みんな、それぞれ、バラバラなバックグラウンドがあるのもいいですね。
良いメンバーです。


あと、ドンファンさんと共演しているということで、韓流ドラマ好きな母と姉からの株が上がりました。快快でNHKに出たときぶりで、素直に喜んでもらって嬉しいです。
ドンファンさん


僕は日韓の歴史に本当に疎かったので、今回色んなことを知れてとても良かったです。こんなに歴史が興味深く感じたのは初めてです。韓国に行く前に、失礼がない程度に勉強しようと思って本を読んでも全然頭に入ってこなかったことが、韓国に行ってからは肌で感じられてすっと入ってきました。
小さい頃、おじいちゃんに「戦争中何してたの?」って聞いたら「満州で馬の世話。」って言ってて、「え?外国にいたの?信じられない。」と思ったのを思い出して、「実際いたんだよなあ」と今では思える。みたいな。
実際ここに日本人がいたんだなあと色んなところで感じました。

同じ敷地内の建物なのに何で鮮やかさが違うんだろうって思ったら、日本統治時代に壊されて独立後に新しく建て直されたものと、当時のまま残っているものの違いみたい。










あと良く海外ツアーにいくと見かけて気になっていた黒と白のカラスみたいな鳥が「カササギ」だってことを知って、これが九州にはいるって聞いて、秀吉が本当に朝鮮出兵したんだなあとか。


なんか歴史って本当にあったことなんだなあ実感しました。
今の世界が、こうなっているのは、昔からの流れでこうなっているんだよなって感じます。
今、日本で、アメスピを吸いながら、イタリアで買ったスロベニア製マグカップで韓国の朝鮮人参茶を飲みながら、部屋の隅ではアフリカにいるインコが眠っていて、ぼくのパーカーは中国製!
と一瞬なったけど、まあ、別になんですけど。

多田さんもすっかり演劇の人だけどなんでこの人演劇やってるんだろうって今回ふと思って、永井さんもなんでこんなにストイックにやっているんだろう、何がこの人に演劇をさせているんだろうってふと思って。こんな人が演劇に情熱を傾けてやっていることに価値がある!って思って。今までは、アイディアを出すことが自分の存在意義だと思っていたけれど、自分という人間性が演劇での俺の存在意義なんじゃないかとふと思いました。
結構これは発見。

まあ考え過ぎだと言われることが多いのでもう終わり。
考えちゃうから、頭に意識がいっちゃってフワフワして地に足がつかなくなるんです。
文字通り「腑に落とす」ことが大事。
おれはクレバーじゃないから考えてもしょうがないんだけど腑に落とす為に考えちゃうんだよ。
本当は「Don’t think, feel.」の方が性に合ってるんだけどね。
っていうのを気付かせてくれたのは、同い年の共演者の大石将弘君です。
本当に賢くて、理路整然と(本人からしたらそうじゃないのかもしれないけれど)演技が良くなっていく様子を目の当たりにして、賢い人ってこういう人なんだなって思って、自分がそうじゃないんだと素直に認められました。
快快の女子は俺が頭弱いって思っているだろうけど、それは俺が快快でのバランスを考えて頭弱いキャラを演じているだけだってずっと自分では思っていたんだけど、実は本当に頭弱めだとリアライズしました。

あと、大石くんが教えてくれて登山を初体験しました。
台本で、僕は山にちょっと登ってきたシュエーションがあったので、その山をイメージする為に登ったのと、登山好きだった父親の命日を韓国で迎えたので、父を偲びつつ、自分のルーツを感じる為に。
やっぱり父親の血が流れていますね。最高でした。上りも下りもノンストップで、なんかずっとハイでした。紅葉が綺麗でした。

プッカンサン




望遠鏡で北朝鮮も見ました。

これも北朝鮮が本当にあるんだと実感しました。







劇場で待ってます。